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2004年11月第59回J

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問題6
次の文を読んで問題に答えなさい。答えは1.2.3.4の中から一つ選びなさい。
譲歩と要求のバランスが命
30代となれば、ひと通りの実務はマスターした。対外的に、大きな仕事を任せされる年代でもある。つまり、交渉力が、その後のサラリーマン人生の浮沈を握るカギとなってくる。
「交渉力を高める前に、まず交渉とは何かを分かっていなくてはならないのが、30代です」と言うのは、武蔵野大学で交渉学を教える中嶼洋介さん。
「交渉は勝ち負けではない。強圧的な態度をとることもなければ、卑屈なほど譲歩することもない。譲歩と要求のバランスをとった合意の形成こそが、交渉の目的なんです。一般的に交渉が行き詰まる原因は、主にふたつ。人間関係がうまくいってないか、交渉の争点に対し、自分がどれだけの準備をしていたかが成否の分かれ道になるのです」
こうしたことを理解した上で、実際の交渉の場では、何に注意すればいいのか。
なかなかできないのが、5か条の1だ。価格交渉では誰しも通常、インパクトのある値引きをしたいもの。これ以上の値引きは無理という印象を与えたいがために。
「交渉の初期の段階でドーンと下げると、相手はさらに値引きをしないと納得しなくなります。そうではなく、仕様を変更し、支払い条件などで譲歩しながら、何回となく少しずつ値を下げていく。その回数が、相手には大きく譲歩しているように映るのです。そして、最後に少しまとまった譲歩をして納得を得る。こうした段階的譲歩身に付けておくべきです」

交渉力を高める5か条
.1譲歩は小出しにする
.2誘導とおだての使い道
.3「ノー」を脅しに使う
.4権威への同調
.5ボディーランゲージを読む

 (「30代のキャリアアップ術」「ダカーポ」537号より一部改)

(125) 中嶼洋介氏は、交渉をどのように考えていますか。
1 自分たちの要求を相手に受け入れさせたほうが勝ちである。
2      交渉では、相手の要求に譲歩したら負けになる。
3 一方が勝てば、もう一方は負けるという厳しいものである。
4 お互いが合意に至るように持って行くのが、交渉の目的である。
(126) 中嶼洋介氏は、交渉がうまくいくように、どのようなことをすることが必要だと言っていますか。
1 交渉する内容が個人的に好きであれ、嫌いであれ、それは仕事だと割り切る。
2 交渉の場で争点となることが予想されることについて、十分に準備しておく。
3 社内の人間関係を常に良好に保ち、いつでも上司の援助がもらえるようにしておく。
4 強圧的な態度と卑屈な態度をうまく使い分けて、交渉に臨むことが必要だ。
(127)「交渉力を高める5か条」の1「譲歩は小出しにする」について、中嶼洋介氏の言っていることと合っているのはどれですか。
1 例えば、価格交渉では、値下げは一回のみで、それ以外の仕様や支払い条件などで少しずつ譲歩を示すほうが効果的である。
2 例えば、価格交渉では、数回にわたる小刻みの値下げの提示のほうが効果的である。
3 例えば、価格交渉では、最初は小さく下げ、その後徐々に大きく下げていくほうが効果的である。
4 例えば、価格交渉では、最初大きく下げ、相手にインパクトを与えて納得させるのが効果的である。

問題7
次の文を読んで問題に答えなさい。答えは1.2.3.4の中から一つ選びなさい。

脳の中の人生(連載15)
脳科学者 茂木健一郎
この連載の中でも紹介して来たように、脳科学者は日進月歩で、「そんなことまで判っているのか!」と驚くような発見が次から次へと報告されている。
それでも、まだまだミステリーとして残っていることはたくさんある。物質のかたまりである脳の活動から、いかにして私たちの「心」が生み出されるのかという人類究極の謎が、未解決のままなのである。
心がいかに生み出されるのか、という謎に関して言えば、脳科学はいまだに( A )「煉金術」ならぬ「煉心術」の状態にある、という厳しい意見さえある。
かつて煉金術師たちは、金という元素がどのように生み出されるのか、その根本原理を理解してはいなかった。様々なものを混ぜたり、加熱したりしていれば、いつかは金が出来るだろう、というのは希望的観測に過ぎなかった。
同様に、様々なものを感じる心がどのように生み出されるのか、現代の科学者は、その根本原理を知らない。神経細胞が複雑なネットワークを形づくっていけば、いつかは心が生まれるだろう。ロボットが次第に高度な認知能力を身につけていけば、いつかは心が生み出されるだろう。そんな希望的な観測を持っているに過ぎない。心の謎を解明する科学の営みは、未だ煉金術の時代にあるのだ。
私たち人間の人生は、心の存在なしには語れない。喜び、悲しみ、怒り、不安、希望、愛。様々な心の働きがあるから( B )、人生の豊かさがある。
ところが、今までの科学は、心を持たない「ゾンビ」のような存在として脳を扱ってきた。心を生み出す臓器としての本質を無視して、( C )を調べることに専念して来たのである。
このままではいけないと、1990年代から、世界中の脳科学者、認知科学者、哲学者が立ち上がり、心の謎を巡って専門雑誌が発刊され、定期的な国際会議が開かれるようになった。現在、世界中の最高の知性たちが、一体、脳の活動から心がいかに生み出されるのか、その謎を解明しようと取り組んでいる。
(…後略…)

(「脳の中の人生」「ヨミウリウィークリー」2004年8月15日より一部改)

(128) (A)「煉金術ならぬ「煉心術」の状態にある、というのは、どういう意味ですか。
1 心という人間にとって根本的なものを扱う点から見れば、煉金術と同じである。
2 根本原理を理解していないという点から見れば、煉金術と同じである。
3 希望的観測を現実のものにしたという点から見れば、煉金術と同じである。
4 煉金術とは異なり、心を探究するということは、真の術と呼ぶべきである。
(129) (B)に入る言葉として、最も適当なものはどれですか。
1 こそ
2 して
3 なのか
4 とはいえ
(130) (C)に入る言葉として、最も適当なものはどれですか。
1 喜怒哀楽の生まれる仕組み
2 脳の物質としての性質
3 人生の形成に寄与する心の存在
4 心を生み出す神経ネットワーク
《読解問題》 各6点
(111)~120) 31123 41443
(121)~130) 13444 22212

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